日本共産党滋賀県議団 日本共産党中央委員会
 

県議会報告


一般質問・答弁

2009 年 6 月

節木三千代議員

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滋賀県教育振興基本計画について

節木三千代議員質問

 まず滋賀県教育振興基本計画について、お尋ねします。

 2006年12月に「改正」された教育基本法の具体化として、国において「教育振興基本計画」が昨年7月1日に策定されました。昨年11月県議会において私は、この「計画」の中心は、子どもや学校間の競争をあおる「全国学力テスト」や、詰め込みすぎなどが懸念される新学習指導要領の徹底などの「学力」対策と、政府に都合のいい「愛国心」教育など子どもの心を上から鋳型にはめるような旧来型の「道徳」の押しつけであり、教育を国策に従属させる意図があるという問題を指摘しました。そして、滋賀県の教育振興基本計画においては、滋賀の教育実践を正しく踏まえ、教育条件整備を中心に、教育内容への不当な介入とならないものにするよう、強く求めたところであります。

 この立場から、今回の滋賀県教育振興基本計画(案)について、3点に絞って質問します。

 「滋賀県教育振興基本計画(案)」は、「滋賀県基本構想」を実現するために、「次代を担う人づくり」にとりくむとしています。ここでは「滋賀県基本構想」の是非には踏み込みませんが、「計画(案)」の言う「めざす人間像」、そこで語られている「近江(淡海)の心」は、果たして正しいのかどうか、私は疑問を持たざるを得ません。

 「計画(案)」では、「近江(淡海)の心」を受け継ぐことが重要視されていますが、「近江(淡海)の心」となにか。それは「進取の気質とともに公の心を重んじ、人や自然との調和を尊んできた」心とされ、ここで「公の心」がことさら強調されています。

 そこで第一点として、ここで言われている「公」とはどのようなものか、「公の心」とはどのような「心」なのか、お尋ねします。そこでいわれている「公」なるものは、国家ということではないのか、いわゆる「愛国心」が「公を重んずる心」といわれているのではないか。見解をお示しください。「計画(案)」のいう「公を重んじる心」には、「公」なるものの利益を優先して、個人の意思、個人の自由を軽視する全体主義のにおいがしてなりません。それは、「公」つまり国家に従う人づくりを企図したものではありませんか。お答えください。

 教育の目標は、日本国憲法に従って、個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するところにあります。そこにやみくもに「公」を持ち込むことは、教育本来の条理に反するのではないでしょうか。日本の国民は、戦前、個人の自由、基本的人権が踏みにじられ、戦争に引き込まれた苦い経験を持っています。「公を重んじる心」でなく、「自由と平和を愛し、平和国家を形成する心」の育成こそ、いま大切ではないでしょうか。教育長の見解を伺います。

 第二点目は、「滋賀が目指すべき人間像」についてお尋ねします。

 「滋賀が目指すべき人間像」は、「近江(淡海)の心」を体現した人物として例示されているものと思われますが、私は、そこにあげられた人がそれぞれ優れた人であることは承知しています。しかし特定の人物を「目指すべき人間像」として示すことは、慎重に扱うべきものと考えます。特定の人物をあげるとすれば、県民のあいだにいろいろの意見があるでしょう。

 例えば、江戸幕府の不当な検地に反対して近江天保大一揆を指導し、甲賀、栗太、野洲の農民を救った野洲三上村庄屋の土川平兵衛は、命をかけて不正に抗議し、近江の農地と農民を守った土川平兵衛こそ「目指すべき人間像」という意見もあろうかと思うのです。議論を呼ぶような特定の人物名はあげるべきではありません。

 それに、「計画(案)」が「近江(淡海)の心」を示すとしている各人物の「心」なるものも、本当にその理解でよいのか、私には疑問が残ります。一例だけ言いますと、糸賀一雄先生の「この子らを世の光に」は、「一人一人を大切にする心」といわれますが、それは間違いではありませんが、浅い理解のように思われます。糸賀先生は、障害を持った子どもたち、弱い立場にある人びとの発達が保障されてこそ、すべての人の権利が保障される社会になると言われたのではないでしょうか。それが「福祉の心」だと言われたのではないでしょうか。

 こうしたことを考慮して、「目指す人間像」に特定の人物をあげるのは、やめるべきであると思うのですが、教育長の見解を伺います。

 三つめに、「計画(案)」第4章の4「点検評価・進行管理・計画の見直し」についてお尋ねします。

 ここでは「計画の推進にあたっては、PDCAサイクルの考え方に基づき、毎年度、計画に基づく教育施策の実施状況、成果指標・事業評価の達成状況、施策の効果や課題について点検・評価を行い」とあります。ご承知のように「PDCAサイクル」とは、プラン(計画)、ドウー(実行)、チェック(点検)、アクト(改善)の四段階で計画をスムーズに進める管理方法で、工場生産などに使われていたものです。これを教育に適用して、国や県が決めた計画を現場に実行させ、それを県が数値などで点検し、それに基づいて現場に改善を命じる。これはまさに行政による教育統制ではありませんか。教育の自主性を犯すものではありませんか。

 このような「PDCAサイクル」の手法を滋賀の教育に持ち込むことはやめるべきです。教育長の見解を伺います。

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教育長答弁

 教育振興基本計画の御質問についてお答えをいたします。

 1点目の、教育振興基本計画における「公の心」についてでありますが、「公の心」とは、個人の尊厳や自由が尊重される中で、様々な価値観を認め合い、人と人とのつながりを大切にしながら、社会へ貢献し、また、相手の身になって考え、人を思いやる気持ちを大切にする心として示しております。

 2点目の、「目指す人間像」についての御質問でありますが、本計画におきましては、「近江の心」を受け継いで、自らに誇りを持ち、変革の時代にあってもたくましく人生を切り拓く力を備えながら、国際社会の一員として活躍できる人を、「目指す人間像」として示しており、特定の人物を人間像として掲げたものではございません。

 本計画において示しました「近江の心」とは、限られた先人の心だけではなく、琵琶湖のほとりに住み、そこで住み着いた私たちの遠い祖先が、自然と共生する中で、生活や生業の知恵を生み出してきた歴史や文化において、多くの先人から脈々と受け継がれてきた心を表しております。

 本計画の推進にあたっては、こうした「近江の心」を、今後も大切に守り育て、未来につないでまいる所存でございます。

 最後に、PDCAサイクルの手法についてでありますが、毎年度、計画に掲げたそれぞれの施策を着実に実施した上で、その実施状況や成果指標・事業目標の達成状況、施策の効果や課題等について、点検評価を行い、翌年度以降の施策の展開に反映させ、より実効性のあるものとしていきたいと考えております。

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節木三千代議員再質問

 PDCAサイクルは、企業の論理で効率的な運営を求めることであり、行政や国に基づいた教育が行われるということが強まると思うが、いかがでしょうか。

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教育長再答弁

 成果指標とか、そういう評価する、そういうのは、達成状況を多面的に評価する必要がありまして、すべての数値、そういうふうなものを示すということは非常に難しいことなんですけれども、それぞれの成果をひとつの指標として、これを活用してより実効性のある計画、そういうものにしていくということは、県民の理解そのものにもつながっていくというふうに思っております。内容におきましても、行政や学校が主体的に担うものとか、県民の皆さんに活動状況を示すもの、そういうふうなものを示しておりますので、そういう面におきまして、そういうふうな指標として成果指標や事業目標を進めていきたいというふうに思っております。

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節木三千代議員写真

質問する節木三千代議員

県議会報告 > 2009・6月県議会定例会一般質問 1

 

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